「更紗(さらさ)」という響きに、異国の景色と歴史やロマンを感じることができるような気がします。その模様の美しさや染め方によって変わってくる様々な
色・風合いは古くから高級な染物布として沢山の人を虜にしてきました。江戸時代前後に日本にも伝わってきた「更紗」の美しさを、日本風にまねて作った「和更紗」というものまで産まれたほどです。インドの民族衣装である「サリー」などに使われることも多い「更紗」身にまとっている人を美しく引き立てる魅力も持っているようです。エキゾチックな魅力あふれる「更紗」の歴史をのぞいてみましょう。
更紗(さらさ)とは
更紗は木綿生地に色々な装飾が施されているたいへん美しい布ですが、その生地の織り方・装飾の技法などに決まりがあるわけではありません。また、インド更紗・ジャワ更紗・ペルシャ更紗・和更紗・銅版更紗など、更紗を作っている国によってそれぞれの特徴がある更紗が作られています。
更紗という名前について
「更紗(さらさ)」が日本に伝わってきたのは、江戸時代頃です。「更紗」のほかにも「皿紗(さらさ)」「佐羅紗(さらさ)」「佐良左(さらさ)」など漢字一つとって見ても沢山の呼び方がありますが、この「更紗(サラサ)」という名前の由来は、インドの「スラト」という港の名前から「サラサ」となったという説やインドの古い言葉で「最高級」という意味の「サラーサ」が「サラサ」になったのではないかという節もありますが、はっきりとわかってはいません。
更紗
特に古くから作られてきた「インド更紗」では模様染めされている生地のほとんどすべてが「更紗」の仲間とされています。での特徴すから更紗とは、絞り染めなど一握りを除いた「模様を染めてある布のことである」もの全般のことだと考えても間違いではないと思います。
更紗の生地・上手木綿
更紗の大きな特徴の一つは使われている「木綿」という生地にもあります。日本を始め世界中で古くから使われてきた木綿生地ですが、最も古くからある「古渡り更紗」や「シャム更紗」などのインド更紗の木綿生地は、人の手で細く滑らかに紡がれた糸だけを使用した「上手(ジョウテ)」と呼ばれ手入るものです。「上手」の木綿は生地の目が大変細かく揃っているため、薄くても大変丈夫な生地でしかもさわり心地が大変滑らかなのが特徴です。さらに「上手」の木綿を使用している更紗の装飾は大部分が手描きであり、藍に付け染めしてあることが多く、生地の裏側にまで藍色がしっかり入っているのも特徴です。西洋には、「キャンブリック」という木綿生地がありますがこれはこのインド更紗の「上手木綿」をまねて作られたものだといわれています。確かに木綿生地の薄さや丈夫さはお互いにて入るのですが、同じ更紗を作ったとしても手織りの上手木綿のほうが独特の味が感じられる更紗になるようです。
装飾用更紗・鬼更紗
日本人も古くから更紗を好んで色々なものに仕立てて使ってきました。江戸時代には、小紋・小袖・帯・懐中などの小物など更紗で作られたものの人気が高かったようです。日本では、木綿を太く荒い目でざくざくと織った生地で作られた更紗を「鬼更紗(おにさらさ)」と呼び、敷物や掛け軸など茶道の小物などとして愛用されていました。鬼更紗のような目の粗い分厚い更紗はインド更紗の中でも同じように装飾品として飾ったりテントの生地なに使ったりされていました。鬼更紗は染色の際、藍を泥で塗りこんでいく手法を使うため生地の裏側にまで藍色が入り込んでいることはあまりありません。
更紗の染色
更紗には決まった染色方法があるわけではないので本当に様々な染色方法が用いられてきました。染色方法の違った更紗を日本で呼び分けるのに、「シャムロ染め」「花布」「華布」「印華布」などと呼んでいます。更紗に模様やデザインを描くときに「金箔」「雲母(きら)」を使ったものを「金更紗」や「雲母更紗」と呼び、顔料を使って更紗に直接描きこむ染色のものを「描き絵更紗」とよんでいます。
日本人と更紗
初めて更紗が日本に伝わったときから、その生地の美しさや染色・デザイン素晴らしさに日本人は虜になりました。日本に伝わった更紗はその染色やデザインなどの違いを細かく分類し、「鹿手」「鶏頭手」「胡麻手」など親しみやすい名前で呼んでいました。江戸の町では着物や小物などとして沢山の人に愛用され、更紗の魅力は現代の日本にも伝わっています。また、日本でインド更紗をまねて日本で作られた更紗は、「和更紗」と呼ばれています。和更紗には、日本らしい和金や家紋、菊などの花がデザインされた染物や友禅染め、小紋染めなどもあります。金を使った「金更紗」や「雲母更紗」は打ちかけなどに好んで使われていたため、現在でも保存されているものを見ることができるものもあります。
ジャワ更紗とインド更紗
インド更紗とジャワ更紗は比較されることが多いものですが、それぞれに独特の特徴があります。それは染色方法や防染のために行われていた、「蝋傑(ロウケツ)」を使った染色を行うときに使用する道具なども違っています。インド更紗は、カラムと呼ばれる手描きようのペンか、木型を使って模様を描きこみます。インド更紗と同じく、最も有名な更紗として知られる「ジャワ更紗」はインドネシアで育てられた綿をインドの上手と同じように細く細かく紡いだ糸を使って織り上げられています。インドの上手更紗がやや木綿の感触を感じられる柔らかな風合いの更紗であるのに対し、ジャワ更紗はつるっと滑らかな繊細な生地で作られています。ジャワ更紗の模様はチャンチンという蝋置きを使って手描きで描かれているものがほとんどで大変細かく繊細なデザインが特徴的です。最近の更紗は木綿や綿だけでなく、絹が使われていることもあります。
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